退職者に理由を聞いても当たり障りのない答えしか返らないとき、何をどう聞けば実態をつかめるのでしょうか。
令和6年1年間の離職者数は7,195.3千人、離職率は14.2%です。ただし、人数や率だけを見ても、退職者が職場で何を経験し、どの出来事が退職判断につながったかは分かりません。
「個人的理由」による離職率は10.7%ですが、雇用動向調査の離職理由は離職者本人ではなく、離職者がいた事業所の回答です。「個人的理由」の多くを含む「その他の個人的理由」からも、本人が語った具体的な経緯は読み取れません。
この記事では、直属の上司や評価者との利害関係を外し、定型質問と回答に応じた深掘りで退職理由を聞く設計を扱います。回答を分類名だけで終わらせず、出来事、時期、相談行動、退職判断まで記録する手順を示します。
7,195.3千人
年間に離職した人の規模
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」
14.2%
常用労働者に対する離職の割合
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」
10.7%
事業所が回答した個人的理由の離職率
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」
退職面談で本音が記録に残らない理由
公的統計の離職理由も、社内の退職記録も、本人の経験をそのまま表すとは限りません。誰が答えたか、誰が聞いたか、どの言葉で分類したかを分けないと、具体的な出来事が「個人的理由」に置き換わります。
公的統計は本人の回答ではない
雇用動向調査の離職理由は、離職者がいた事業所の回答です。本人の回答ではありません。「個人的理由」と記録されても、退職者が上司との関係、業務の割り振り、将来への不安をどう語ったかまでは残りません。社内記録でも、人事が「本人都合」と要約すれば同じことが起きます。「退職を考え始めた出来事は何でしたか」と聞き、分類前の回答を残すべきです。
評価者には不満を言いにくい
直属の上司が退職面談を担当すると、退職者は残る同僚への影響や退職手続きを気にします。利害が残ります。「特に不満はありません」「個人的な事情です」と答えれば、面談は穏便に終わります。しかし、同じ上司の指示や対応が退職判断に関係していても、その場では言葉にしにくいものです。「この回答は誰が確認するのか」が曖昧なまま、本音を求めても効きません。聞き手と情報の扱いを先に分けます。
抽象的な質問が抽象的な回答を招く
「退職理由を教えてください」だけでは、退職者は答える範囲を決められません。質問が広すぎます。「人間関係です」「別の仕事に挑戦します」と短く答えられ、背景となった出来事は記録されません。さらに面接官ごとに質問が違えば、ある退職者には業務量を聞き、別の退職者には上司との関係を聞かない事態が起きます。共通質問から始め、出来事と判断のつながりを順番に掘ります。
利害関係を外して具体的な経緯を聞く方法
直属の上司や評価者ではない相手が、全員に共通する質問から始め、回答に応じて出来事を深掘りします。対話型AI面接も選択肢です。録画と回答を人事が確認し、本人の言葉と社内分類を分けて残します。
聞き手と情報の扱いを先に示す
直属の上司や評価者ではない相手が聞き手となり、回答を誰が何の目的で確認するかを冒頭で示します。安心を断言しません。「回答は人事が職場改善の論点を確認するために使います」と説明し、答えたくない質問には答えない選択も伝えます。対話型AI面接を使う場合も、相手が人ではないことだけで本音が出るとは限りません。情報の扱いが曖昧なら、退職者は回答を控えます。
共通質問から具体的な出来事へ掘る
全員に同じ起点の質問を出し、回答に応じて時期、場面、相談先を深掘りします。順序を揃えます。「退職を考え始めた出来事は何でしたか」に続けて、「その後、誰かに相談しましたか」と尋ねます。外国人社員には母語と日本語の両方で面接する方法もあります。ただし、言語ごとに質問の意味がずれないよう、確認する論点と評価基準は共通にします。
本人の言葉と社内分類を分けて残す
回答をすぐに「個人的理由」や「人間関係」へ置き換えず、本人の言葉を録画で残します。分類は後です。「業務量が多かった」という回答には、どの業務が、どの時期に、何と重なったのかを追加で聞きます。AI評価とその理由は整理の補助に置き、人事が元の回答と照合します。分類名、具体的な出来事、本人が望んだ対応を別々に記録すれば、後から背景を確認できます。
AI面接で何がわかるのか
AIは定型質問と深掘り、回答記録を担えますが、本音を自動で見抜く万能な手段ではありません。AI評価だけで真偽を決めず、本人が話した事実、解釈、希望を分け、人事が録画された回答を確認します。
ZeroInterviewのAI面接は、対面面接を「置き換える」ものではありません。一次スクリーニングとして、対面面接の「前段階」を担うものです。
評価項目
AI面接では、以下の4つの観点で候補者を評価します。
退職を考え始めた出来事
退職理由の分類ではなく、判断が動いた具体的な場面を見ます。起点を探ります。「退職を考え始めたのは、どのような出来事の後ですか」と尋ね、業務変更、上司との会話、希望とのずれなどを本人の言葉で聞きます。「以前から不満だった」だけなら、その不満が行動へ変わった場面を深掘りします。出来事が複数あっても、面接官が主因を決めず、本人がどう結び付けたかを記録します。
相談した相手と返された対応
退職前に誰へ相談し、どのような返答や対応があったかを見ます。経路を確かめます。「退職を決める前に、誰かへ状況を伝えましたか」と聞き、相談しなかった場合も理由を尋ねます。上司へ伝えたのに返答がなかったのか、制度を知らなかったのかでは、会社が見直す論点が違います。相談の有無だけで本人を評価せず、声を上げた後に何が起きたかまで記録します。
残留の余地があった条件
どの条件が変われば退職判断も変わり得たのかを確認します。引き止めとは別です。「業務や働き方にどのような変更があれば、退職を考え直す余地がありましたか」と尋ねます。「何もない」という回答も、そのまま残します。退職手続きの途中で改善を約束して判断を迫るのではなく、過去の分岐点を知る質問として扱います。本人の希望と会社が実行できる対応を混同しません。
会社へ伝えたい再発防止の論点
同じ理由で別の社員が退職しないために、何を変えてほしいかを聞きます。提案を求めます。「同じ状況の社員がいたら、会社は何を変えるとよいですか」と尋ね、業務、上司の対応、相談経路など具体的な対象へ分けます。退職者の提案がそのまま正解とは限りません。それでも、本人が問題と捉えた場面を記録すれば、他の退職面談や社内情報と照らして確認できます。
評価レポートの内容
AI面接が完了すると、ダッシュボードに各評価項目の100点満点のスコア、候補者の強みと改善点のサマリー、AIによる総合コメント、面接の録画動画と文字起こしがまとめられます。
採用担当者はこのレポートを見て、自社の基準に合う候補者かどうかを数分で判断できます。気になる候補者は録画動画で実際の話し方や人柄を確認してから、最終面接に進めるかどうかを決められます。書類選考だけでは見えない「人となり」が、対面で会う前にわかる。これがAI面接の最大の価値です。
退職理由を聞き取る活用シーン
退職の申し出から退職後の振り返りまで、本人と聞き手の利害関係を減らせる場面で使います。質問を揃え、回答の違いを本人の言葉のまま確認します。
直属の上司へ退職を伝えた後
退職の申し出を受けた後、直属の上司とは別の相手が理由を聞く場面です。役割を分けます。「上司へ伝える前に、退職について誰かへ相談しましたか」と尋ね、判断までの経緯を確認します。上司が同席すると話しにくい内容も、別の聞き手なら回答の選択肢が広がります。ただし、聞き手が変わるだけで本音が保証されるわけではありません。情報の確認者と利用目的も先に伝えます。
外国人社員が日本語で詳しく話しにくい面談
日常会話はできても、感情や複雑な経緯を日本語で説明しにくい退職者へ聞く場面です。流暢さで決めません。「仕事を辞めようと思った場面を説明してください」と問い、回答に応じて出来事や相談行動を深掘りします。短い回答でも、質問の理解不足なのか、話したくないのかをAIが断定してはいけません。人事は録画を確認し、言葉を変えた追加質問や人による面談が要るかを判断します。
複数部署の退職理由を比べる面談
部署ごとに面接担当者が異なり、退職理由の聞き方が揃っていない場面です。質問を共通化します。「退職を考え始めた出来事」「相談した相手」「会社の対応」を同じ順序で聞き、回答に応じた深掘りも設定します。ある部署だけ上司との関係を聞かず、別の部署だけ詳しく記録する状態では比較できません。共通質問と本人の回答を残し、分類は人事が後から確認します。
退職後に職場改善の論点を振り返る場面
退職面談の回答を、手続き終了後に人事が見返す場面です。記録を眠らせません。「業務量」と分類された回答でも、録画では担当変更の説明不足や相談後の対応が語られていることがあります。分類だけを集計すると、その経緯は消えます。人事は本人の言葉、具体的な出来事、相談後の対応を分けて確認し、他の退職者にも共通する論点かを判断します。個人の回答だけで全社傾向とは決めません。
よくある疑問
Q. 退職面談で本音を引き出す質問は何ですか?
「退職を考え始めた出来事は何でしたか」と具体的な起点を聞きます。続けて、相談した相手、返された対応、判断が変わり得た条件を尋ねます。「退職理由は何ですか」だけでは分類名で終わるため、出来事と判断のつながりまで質問します。
Q. 直属の上司が退職面談をしてはいけませんか?
直属の上司が聞ける内容もありますが、上司自身への不満や評価への懸念は話しにくくなります。別の人事担当者や対話型AI面接を選べる形にし、誰が回答を確認するかを先に示します。聞き手を変えても本音は保証されないため、回答しない選択も残します。
Q. AIなら退職者の本音を判定できますか?
いいえ、AIは本音や回答の真偽を確定できません。定型質問、回答に応じた深掘り、録画、AI評価の理由は提供できます。人事は元の回答を確認し、事実、本人の解釈、希望を分けます。表情や言いよどみだけで、回答を虚偽と判断してはいけません。
Q. 公的統計の離職理由と社内の退職理由は比較できますか?
分類の定義と回答者を確認せず、そのまま比較すべきではありません。雇用動向調査の離職理由は、離職者本人ではなく事業所が回答したものです。社内では本人の回答、面接担当者の要約、最終的な分類を分けて残し、どの情報を比較しているかを明示します。
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退職理由が記録に残らない原因は、退職者が話さないことだけではありません。利害関係のある聞き手、広すぎる質問、早すぎる分類が本人の経験を消します。ただし、AI面接も本音を見抜く万能な手段ではありません。まずは共通質問を使い、出来事、相談行動、会社の対応を録画で残す試行から始めます。本人の言葉と社内分類を分け、人事が改善へ使える論点を確認します。
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