結論から言えば、AI面接そのものは違法ではありません。日本に、AI面接を禁止する法律は存在しません。
ただし、採用選考に適用される既存の法令は、AI面接にもすべて適用されます。「AIだから適用外」ということはありません。本記事では、導入時に確認すべき法令上の論点を整理します。
職業安定法上の論点
- 求職者の個人情報は、業務の目的の達成に必要な範囲で収集する
- 収集した情報を、当初の目的以外に使用しない
- 面接で得た情報を、他の目的に流用しない
個人情報保護法上の論点
面接動画・音声・文字起こしはすべて個人情報
AI面接で取得する動画・音声・文字起こしは、いずれも個人情報にあたります。取得する以上、適切な管理が求められます。
利用目的の特定と通知が必要
何のために取得し、どう使うのかを特定し、候補者に通知する必要があります。曖昧なままの取得は認められません。
生体情報の規律が新設された
2026年の改正で、顔認証データ・声紋等の生体情報に関する規律が新設されました。音声解析を行う場合は、何を解析しているかを明示すべきです。
面接データの保存期間と管理
- 面接データの保存期間を定めているか
- 不採用者のデータを、いつ削除するか
- 委託先(AI面接サービス提供者)の管理体制を確認しているか
候補者への通知
- AI面接を実施することを、事前に伝えているか
- 録画・録音されることを伝えているか
- 評価にAIを用いることを伝えているか
海外の規制動向を踏まえると、候補者への通知は今後さらに重要になります。事前に伝えておくことは、トラブルの予防にもなります。
要配慮個人情報の取扱い
病歴、障害、信条などは、要配慮個人情報にあたります。面接の中で、候補者が自発的にこれらを述べる場面もあります。
このような場合でも、評価の材料にしない・記録に残さないという運用が基本です。取得しないという判断が、リスクを減らします。
最終判断は人間が行うべき理由
最終判断を人間が行うことは、現時点では明確な法的義務ではありません。しかし、リスク管理の観点からは重要です。
- EUのAI規則では、人間による監督が要求されている
- 候補者から説明を求められたときに、答えられる体制になる
法令対応の多くは、サービス選定の段階で決まります。個人情報の規程、保存期間、専門家の関与——これらを確認できるサービスを選べば、導入後の負担を大きく減らせます。
サービス提供者に確認すべきこと
- 1個人情報の取扱いに関する規程があるか
- 2データの保存場所と保存期間が明確か
- 3法令対応について専門家の関与があるか
まとめ
AI面接そのものは違法ではありませんが、職業安定法・個人情報保護法をはじめとする既存の法令はすべて適用されます。利用目的の通知、データの保存期間、要配慮個人情報の扱い、そして最終判断を人間が行う体制——これらを整えることが、安全な導入の条件です。
そして多くの論点は、法令対応の体制を持つサービスを選ぶことで、導入前にクリアできます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的判断を示すものではありません。具体的な対応については、弁護士等の専門家にご相談ください。
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