小売業界では、新卒からパート・アルバイトまで幅広い応募者と接点を持ち、複数の面接を通じて職務や店舗との適合を確認します。
株式会社ヤオコーは新卒販売職だけで200人を募集し、候補者一人につき3回程度の面接を実施しています。
株式会社ライフコーポレーションの新卒採用実績は2026年入社が223人、2025年入社が263人で、322店舗では店舗別採用も行っています。
本記事では、複数回選考の重複を避けながら候補者理解を深める方法と、AI面接の役割、評価項目、具体的な活用シーンを解説します。
200人
新卒販売職の募集規模
出典:ヤオコー 公開情報
3回
候補者ごとに実施する面接回数
出典:ヤオコー 公開情報
223人
直近年度の新卒採用実績
出典:ライフコーポレーション 公開情報
小売業界で複数回面接の設計が重要な3つの理由
小売業界の選考では、勤務条件だけでなく、接客経験、売り場での協働、将来の働き方などを段階的に確認します。各面接の目的が曖昧だと質問が重複し、候補者理解や評価の引き継ぎが不十分になる可能性があります。
面接ごとの役割が重複しやすい
複数回の面接を行っても、各担当者が応募理由や職歴を最初から聞けば、候補者に同じ説明を繰り返させることになります。株式会社ヤオコーでは、新卒販売職の候補者一人につき3回程度の面接を実施しています。回数を候補者理解につなげるには、初期段階で基本情報を確認し、次の段階では経験の背景や将来像を深掘りするなど、役割を分ける必要があります。面接回数そのものではなく、各接点で得る情報を明確にすることが重要です。
担当者間で評価の根拠が伝わりにくい
採用担当者、部門責任者、店舗責任者など複数の面接官が選考に関わる場合、評価結果だけを共有しても判断の背景は伝わりません。「接客に向いている」といった抽象的な所見だけでは、次の担当者が同じ観点を再確認したり、異なる基準で評価したりする可能性があります。候補者の具体的な発言、確認できた経験、未確認の事項を分けて記録し、次回面接で何を確かめるかまで引き継ぐことが、評価の一貫性を保つうえで大切です。
採用区分によって深掘りすべき内容が異なる
イオンリテール株式会社は新卒、キャリア、パート・アルバイトを並行して募集しています。新卒候補者は職務経験が限られる一方、キャリア候補者には過去の担当業務、パート・アルバイト候補者には勤務条件など、確認の重点が異なります。すべての候補者を同じ質問だけで評価すると、経験を適切に説明できない人が生じる可能性があります。共通の評価項目を保ちながら、採用区分に合った経験を尋ねる設計が必要です。
候補者理解を深める選考プロセスの3つの設計法
複数回面接を有効にするには、各段階の確認項目を分け、前回の回答と評価根拠を次の担当者へ引き継ぐ必要があります。AI面接は初期情報の整理に活用し、人による対話では動機や経験の背景を深く確認します。
選考段階ごとの確認目的を分ける
事前確認では希望職種や勤務条件、一次面接では応募理由や行動経験、その後の面接では仕事理解や将来像など、段階ごとの目的を定義します。前段階で確認済みの内容は次の担当者へ共有し、矛盾や追加確認が必要な場合だけ聞き直します。これにより、面接を単なる反復ではなく、候補者への理解を積み上げる機会にできます。ただし、選考段階を増やすこと自体を目的にせず、各面接で新たに確認する事項があるかを見直すことも重要です。
回答内容と評価根拠を分けて記録する
面接記録には、候補者が話した事実、面接官の評価、次回確認する事項を分けて残します。AI面接を使う場合も、要約やスコアだけに頼らず、可能な限り回答原文を確認できるようにします。話し方の印象から人物像を断定せず、評価項目と具体的な発言を結び付けることが重要です。また、候補者情報を必要な担当者だけが閲覧できるよう管理し、選考目的を超えて利用しないなど、情報の取り扱いにも配慮します。
有人面接では背景と相互理解を深める
勤務条件や基本経歴をAI面接で事前に整理した後、有人面接では応募理由の背景、接客や協働の具体例、働くうえでの希望を対話によって確認します。同時に、候補者からの質問に答え、仕事内容や勤務環境を伝えることも面接の重要な役割です。AI面接だけでは、候補者の疑問や不安へ柔軟に応答できません。情報を集める場面と相互理解を深める場面を分け、担当者が直接対話する時間を確保する必要があります。
AI面接で何がわかるのか
AIで候補者の人柄や接客適性まで分かるのか、疑問を持つ担当者もいるでしょう。AI面接は人物を完全に評価する万能な仕組みではありません。回答を整理して追加質問を見つけ、人による判断を支える用途に限定することが重要です。
ZeroInterviewのAI面接は、対面面接を「置き換える」ものではありません。一次スクリーニングとして、対面面接の「前段階」を担うものです。
評価項目
AI面接では、以下の4つの観点で候補者を評価します。
接客場面での状況把握と対応
小売の仕事では、来店客の要望を聞き取り、状況に応じて案内したり周囲へ相談したりする場面があります。接客経験の有無だけでなく、相手が困っていた場面で何を確認し、どのように行動したかを具体的に尋ねることが重要です。ただし、回答の流暢さや明るい話し方だけを接客適性と結び付けるべきではありません。AI面接では行動事例を整理し、その背景や再現性は担当者が追加面接で確認します。
周囲と協働した経験
店舗運営では、品出し、レジ、売り場案内などを複数の従業員が連携して進めます。協調性という抽象的な項目ではなく、役割を分担した経験、忙しい場面で周囲を支援した行動、意見が異なった際の対応を確認すると、評価根拠が明確になります。一つのエピソードだけで人物像を固定せず、候補者が置かれていた状況も把握することが必要です。AIによる整理結果をもとに、人が追加質問して理解を深めます。
応募理由と仕事への理解
応募理由を確認する際は、企業への関心だけでなく、希望する仕事をどのように理解し、自分の経験と結び付けているかを見ます。模範的な表現を評価するのではなく、候補者自身の言葉で説明できているかを確かめることが重要です。また、仕事内容に誤解がある場合は、選考中に正しい情報を伝える必要があります。AI面接は初期の考えを整理する場として使い、有人面接では候補者からの質問にも答えて相互理解を図ります。
勤務条件と将来の希望
希望勤務地、勤務可能な時間帯、就業開始時期は、店舗や職種との適合を確認する基本項目です。さらに新卒やキャリア採用では、希望する業務や今後身に付けたいことを確認すると、配属や育成を検討する材料になります。ただし、将来像が明確でないことだけを否定的に評価すべきではありません。調整可能な条件と本人が重視する希望を分けて整理し、採用担当者が実際の働き方を説明したうえで判断します。
評価レポートの内容
AI面接が完了すると、ダッシュボードに各評価項目の100点満点のスコア、候補者の強みと改善点のサマリー、AIによる総合コメント、面接の録画動画と文字起こしがまとめられます。
採用担当者はこのレポートを見て、自社の基準に合う候補者かどうかを数分で判断できます。気になる候補者は録画動画で実際の話し方や人柄を確認してから、最終面接に進めるかどうかを決められます。書類選考だけでは見えない「人となり」が、対面で会う前にわかる。これがAI面接の最大の価値です。
選考段階に応じたAI面接の活用シーン
AI面接は、事前確認、一次選考、次回面接への引き継ぎに活用できます。各段階の目的を明確にし、同じ質問を繰り返さない設計が大切です。
面接前の基本情報確認
初回の有人面接に先立ち、希望職種、勤務条件、これまでの経験、応募理由をAI面接で確認します。担当者は回答を事前に読み、候補者ごとに深掘りする質問を準備できます。ただし、事前回答だけで候補者を機械的に選別すると、回答環境や表現方法の違いを見落とす可能性があります。回答原文も確認し、情報が不足する場合は面接で補います。AI面接を利用しにくい人には、電話や対面による代替手段を用意します。
一次面接から次回面接への引き継ぎ
AI面接と一次面接で確認できた内容を、事実、評価、未確認事項に分けて次の担当者へ共有します。次回面接では同じ質問を最初から繰り返さず、候補者の回答を踏まえて経験の背景や仕事への理解を深掘りします。一方、前の担当者の評価をそのまま受け入れると先入観につながる可能性があります。具体的な回答を参照しつつ、次の面接官が独立して確認できる項目も残し、複数の視点を生かします。
新卒候補者の経験の深掘り
職務経験が限られる新卒候補者には、学業、部活動、アルバイトなどで周囲と協働した経験や、相手の要望に応えた行動を尋ねます。AI面接でエピソードの概要を確認し、有人面接では本人の役割、工夫、結果、学びを詳しく聞きます。経験の規模や華やかさではなく、置かれた状況でどのように考えて行動したかを見ることが重要です。回答形式への慣れだけで評価差が生じないよう、質問文も分かりやすくします。
パート・アルバイト応募者の条件整理
店舗別採用では、希望店舗、勤務できる曜日と時間帯、就業開始時期などを事前に確認します。担当者は条件を把握したうえで面接し、仕事内容やシフトの考え方を説明できます。ただし、希望条件が募集内容と完全に一致しないことだけで自動的に対象外とせず、調整できる余地を本人と確認することが大切です。AI面接への回答が難しい応募者には同じ項目を電話で聞くなど、応募方法によって機会の差が生じない運用にします。
よくある疑問
Q. AI面接を導入すれば面接回数を減らせますか?
回数を減らせるとは限りません。まず各面接の目的と重複を整理し、AI面接は基本情報の確認に活用します。不要な段階が見つかった場合は選考プロセスを見直します。
Q. AIは接客適性や人柄を評価できますか?
完全には判断できません。具体的な経験や回答の整理には使えますが、表情や話し方だけで適性を断定せず、担当者が背景を含めて確認する必要があります。
Q. 前回の面接記録はどこまで共有すべきですか?
候補者の具体的な回答、確認済み事項、追加確認事項を必要な担当者へ共有します。抽象的な印象だけを引き継がず、閲覧範囲と利用目的も明確にします。
Q. 候補者体験を損なわないための注意点は何ですか?
選考段階ごとの目的と所要時間を案内し、同じ質問の重複を避けます。AI面接の代替手段を用意し、有人面接では候補者からの質問に答える時間を確保します。
導入は最短即日
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AI面接リンクを応募者に送る
発行されたリンクを送るだけ。最短即日で運用を開始できます。
小売業界のAI面接は、複数回選考で候補者の回答を整理し、次の面接で深掘りすべき点を明確にする補助手段です。一方、人柄や接客適性、将来の活躍まで正確に判定できる万能な仕組みではありません。まずは一つの採用区分や選考段階で試行し、質問の重複、候補者の負担、評価の偏りを確認しながら、有人面接との役割分担と情報の引き継ぎ方法を改善することが重要です。
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